Morgenstern Blog

Mongensternさん、こんばんは。

図解ありがとうございます。やはり図があると分かりやすいですね。この手のコメントを論理立てて全て文字で表現しようとすると、どうしても文章が長くなってしまいます(笑）。すいません。でも、お伝えしたかったことが完璧に伝わっていることが分かると、とても嬉しくなりますね。

ｔ５アルミ合金製（以下AL）トップリングで辛いのは、厚さが薄いために、その４乗で効いてくる断面２次モーメントが（t20木製に比べて）かなり小さくなることです。その結果、曲げによる撓みはt20木製トップリングの10倍以上に大きくなります。それは、トップリングの素材を木製（Baltic Birch Plywood）からALに置換したことによるヤング率向上による剛性UP効果を、断面を薄くしたことによる断面２次モーメント減少の影響がかなり大きく上回ってしまったからです。ただ一方で捩れの影響は30%程減少しますので、トータルで見た（主鏡位置での）レーザースポットのズレは、このモデルによるラフ計算ではt20木製トップリングの場合の倍程度（それでも計算上は２mm程度）に収まります。

撓み影響を元のt20木製トップリング（木製としてはかなりヤング率の高い素材を想定しましたが）と同等にするにはt10程度のALが必要になります。その場合捩れは木製の1/3程度になりますから、トータルで見たレーザースポットのズレはt20木製トップリングの半分程度になります。ただ重くなってしまいますけどね。

いずれにしても、簡易モデル計算をして感じたのは、１．実際のレーザースポットのズレがラフ計算による推定値よりかなり大きいことと、　２．①と（②の結果としての）⑤の要素の影響を抑えることが肝心だろうということです。

１．については簡易モデルによる誤差とも考えられますが、それにしても差が大きいのでトラスやスパイダー結合点の撓みもチェックしてみてください。箇所あたりの撓みはコンマ何ミリオーダーでも、角度への感度が大きい箇所もありそうですから。（因みに、フォーカサー部の質量は1.5kg程度を想定しましたが、ほぼ１次で効いてきます。）

２．については、描いていただいた図からも想定できると思いますが、スパイダー・ピラミッドの頂点とフォーカサー・サポート・ブラケットの上端を細いワイヤーで繋いで、18"-UCが天頂を向いた時に軽いテンション（図の相対位置関係から想定すると、アイピースを含めたフォーカサー部の下向き力と同等レベルのテンション）がかかるようにすることができれば、極めて軽量な対策になりそうな気がします。ただ、この場合には上記①の撓みが少ない木製トップリングを使ったほうが軽くて相乗効果が出るかもしれませんね。

SN01847/L106-41さん、さらに詳しい計算結果についてご説明いただき、ありがとうございます。すぐに対応していただいているのに、私の方は実際の工作と実物の確認が進んでいなくて恐縮です。

トップリングの厚さの変形への影響が特に大きい（4乗）というのは驚きました。ですが、確かに、手で荷重をかけたときの変位はALの場合、結構、大きいような感じがしていました。また、Cheyenneさんが1/2インチ厚にして良い結果を得たと言われている事とも合っていると思います（ただ、ミラーの後ろに、たくさんのおもりが必要になっている）。

図では、対称性の高い、スパイダーとトラスポールの取り付け位置が一致している状態を示しています。先にも書きましたが、これをずらして、実質的なB部の長さを短くすることを試しています。前回は、30度ほどずらして、ちょうどフォーカサーが真横に出るような位置にしたのですが、思ったほど改善はされていませんでした。今は、もう少しずらして固定したところです。もしかすると、リングを木製に戻して、この方法を適用するのもやる価値があるかもしれないと思っています。

同じく図では、フォーカサー取り付け金具の高さが実際よりも高く描いてしまっています。ですが、ご指摘の通り、ワイヤーでテンションをかけることも効果がありそうです。テンションの強さにもよりますが、ターンバックル（を使う場合）の設置場所、比較的薄いフォーカサー上部の部材にうまくワイヤーを固定する方法、あたりを考えています。まずは、一時的に、ワイヤーを張ってみて、効果があるかをテストしてみるのもよいかもしれません。

定量的な考察として、ご指摘いただいた「計算値よりも、ずれの実測値が、かなり大きい」点については、今後、気をつけて、トラスの接合部やトラスそのもののゆがみをチェックするようにします。最初はこの辺りも疑っていたのですが、トップリングの変形に気づいてからは、そちらに意識が集中していたところがあったと思います。

物理の教科書には、質点の古典力学のあとに、テンソルなどがでてくる部分が少しあったような気がしますが、全然、記憶に残っていなくて後悔しています。化学にも関係が深い（と考えていた）拡散や波動のあたりは、少しは身を入れて講義を受けていたのですが、この辺りはあまり使わないだろうと考えていました。「どんな学問も、実は、役に立たないなんてことは無いんだ」ということを思い知らされた気分です。

Mongensternさん、こんばんは。

私はSN01847/L106-41さんとはギャラクシー社のミラーつながりで、Mongensternさんとも口径18inつながりですね。

お二人のやり取りを興味深く拝見しました。私も輸送機の構造設計を行っておりますので、こういった話は大好きです。

写真を見るとトップリングのトラスによるサポートが外周側だけになっていますし、スパイダーの取り付け部もそれほど剛性が無いようですので、SN01847/L106-41さんがおっしゃるようにトップリングサポート部のねじれ角及びたわみ角が結構影響しているように感じます。

なお、小生のドブはトップリングの撓みはありませんでしたが、フォーカサのクレイフォード部のがたが、アイピースの向きに影響していました。
Mongensternさんの接眼部はしっかりしていそうですので心配は無用かな？

横槍失礼しました。

Morgensternさん、こんばんは。
utoさん、こちらでもこんばんは…です。
う～ん、共通項は皆さん18”、Dave K.氏繋がりとも言えるのでしょうか。（笑）

この手の構造解析に正確さを期するなら境界条件を「しっかりと」定義してFEMを用いるのがよいのでしょうけど、個々の要素に分解したほうが対策の方向性を考えやすいと思い、材料力学の基礎中の基礎である単純梁の簡易モデルで考えてみましたが、過分なコメントをいただきこちらも恐縮してしまいます。

Al材でt12.7（1/2”）を用いると、t10に比べてもレーザースポットのズレを更に40%程度減らすことはできそうですが、質量はさらにかかりますし、やはり要素としての角変化の影響が残ります。

スパイダーとトラスポールの取り付け位置をずらすのは、個人的にはちょっと？？です。これが一致していればスパイダーにもトラスにも基本的には圧縮・引張の力だけしか加わりませんが（トラス構造の基本）、これがずれると曲げ等の他の影響が出始めます。22”-UCは８本トラス（取り付け４箇所）に３本スパイダーで、１箇所だけ一致させる設計がなされているようですが、18”や15”は３ｘ３を基本構想にした設計がなされているのではないでしょうか？この辺りは是非実機で影響の有無を見てみてください。
utoさんも私同様の指摘をされていますが、トラスやスパイダー取り付け部などの「結合点近傍」は力が加わる割には意外に見落としがちですから。

フォーカサー取り付け金具の高さが実際よりも高く描いてしまっています、というのは逆に好都合です。もし図の相対位置よりフォーカサー・ブラケットの高さが低ければ、ワイヤーにかかるテンションはその分小さくて済みます。ワイヤー・テンションについては、鏡筒水平の状態でテンション・ゼロになるような調整を行えば、鏡筒垂直の状態で丁度フォーカサー部撓みをゼロにするようなテンションが自動的に加わるようになると思いますので、エレガントな対策になるのではないかと思うのですがいかがでしょう？　但しその場合には前にも書きましたように、特にスパイダーとトラスの取付点の一致と、取付点近傍の撓みを無くしておくことが肝心です。

小生のドブのフォーカサーはたぶんMorgensternさんのと同じかな？（Feather Touch）
縦槍？失礼しました。