久しぶりの観望2010年03月20日 21時04分49秒

18"UCの改良後、なかなか観望の機会がなかった。
土曜日から天気が崩れる予報なので、今日(3/19)近所の田んぼの中の行き止まりの道で、1st. light することにした。本当は、もっと暗いところに行きたかったのだが、かぜを引いたようなので、近場とした。

よかったところ
・光軸は、改造後のテストのとおり、鏡筒を動かしても、とても安定している。やりやすい角度で、主鏡の調整ができるので、光軸調整の効率もよくなった。
星の見え方は、良くなっているような感じだったが、はっきり差があるかどうかは分からなかった。街あかりの影響で空が明るいだけでなく、全体にモヤがかかったようで透明度が低く、星がにじんだようになってしまっていた。シュラウドには露がかなりついていたので、ミラーへの結露もあったのかもしれない。シーイングも、地上の風は弱かったが、上空は気流もあったようで、土星の像はかなりゆれていた。でも、時折、見える像はとてもキレイな状態のものもあったので、楽しめた。
・トップリングの厚さが減った(木製リング20 mm --> アルミ 5 mm)分、光路長が少し短くなり、パラコアや双眼装置が使い易くなった。「あと2 - 3 mmで合焦するのに」といった問題が解決していた。

気になったところ
・空の状態はよくない。やはり、もやがかかっているような空で、余計に明るくなっているのと、気流もよくなく、焦点内外像はとげとげで、激しく動いていて、光軸調整の効果は余り感じられなかった。春は、こんな空が多い(透明度悪い)と思われるが、次の機会はぜひ、もう少し暗い空で観望したい。
・水平軸、高度軸の動きは重めだった。湿気が非常に高い状況だったせいもあるかもしれないが、いつもよりも、さらに動きだしが重くなったように感じた。ワックスの使用も考えたい。
・重量バランスが悪くなった。トップリングにベルクロでつける遮光板を、Cさんにいただいた大型のものに替えている。そのため、迷光は目に見えて減少した(空が明るいせいで、よくわかった)のだが、トップリング部の重量が増加した(トップリングの材質の変更(木 --> アルミ)の影響は、ほぼ無し)。ファインダー類とArgo Navisに加えたフル装備の状態で、双眼装置をつけると、鏡筒を水平に近づけるとお辞儀をしてしまうほどになった。軸まわりの動きの重さよりも、重量バランスの崩れが、観望の障害になった。
遮光板をもどすことも考えられるのだが、効果が大きいので、できればこちらを使いたい。トップリング交換による重量増加を相殺するために、Cさんもされている、ミラーボックスへのカウンターウエイト取り付けを考えることにした。ちょうど、付属の重り(アルミ管に鉛粒を詰めたもの。テルラドファインダーの取り付け管に入れて使う)が余っている。本来の用途の、トップリングにつけることは無いので、これを利用してみようと思う。

組み立てと光軸調整をしているところ、パトカーが止まり、職務質問?された。土星を見せてあげたら、とても喜んでもらえたので、こちらもうれしくなった。

コメント

_ SN01847/L106-41 ― 2010年03月21日 10時33分05秒

Morgensternさん、こんにちは。

UTA改造後のFirst Lightですね。光軸安定性が良くなったようでよかったですね。

上層の気流については、以下のサイトで事前に様子を確認しておくと便利ですよ。700-850hPaのレイヤーで高度1500mから3000mの気流の状態を、300-850hPaのレイヤーで高度8000m~10000mのジェット気流を重ねて見る事ができますから、24時間前からの変化を捉えておけば、観望する際のおおよそのシーイングを予測できます。

 http://cimss.ssec.wisc.edu/tropic/real-time/westpac/winds/winds-dlm.html

シーイングのスケールは以下をご参考に。Pickeringのシーイングスケールですが、口径13cmで基準化されていますから、例えば13cmでスケール5でも大口径だとスケール3ぐらいということもよくあります。

 http://www.damianpeach.com/pickering.htm

_ Morgenstern ― 2010年03月21日 11時54分42秒

SN01847/L106-4さん コメントありがとうございます。

いつも役に立つ情報をありがとうございます。さっそく、ブックマークしたところです。

気流については、読み取る側にもスキルが必要なようです。月がある日や遠出できない夜には、ベランダから惑星をみています。まず、これからは、その見え方とジェット気流のデータの関係を見るところから始めてみようと思います。

シーイングスケールについては、本などで知ってはいたのですが、私が考えていたより、「デフラクションリングが動いていてもシーイングスケールはそれほど悪くない」ことが分かりました。動画で示してもらえると、素人にはとてもわかりやすいです。

今日は少しシーイングが良さそうと思っても、実際に覗いてみると「デフラクションリングが激しく動いていて、シーイングは悪い」場合が多かったのですが、この動画と照らし合わせてみると、それでも6 (Fair to Good)にあたっていたことが分かりました。模様がうまくとらえられていないのは、シーイングのせいだけでもなかったのかなと反省しています。

ただ、大口径では良いシーイングの機会が減ることはご指摘のとおりです。こればかりは気流も含めたお天気次第ですね。

前の記事でご指摘いただいた点ですが、トラスポールをつかんで鏡筒を動かすと、わずかにたわみは出る感じ(手への感触)ですが、アイピースを覗きながら動かしているくらいの動きでは光軸がずれるような感じではないです。

また、トラスポールの取り付け部は、ロッカーボックスへは鋳物のような金具、トップリングへは厚めの鉄製で短い90度の金具です。どちらもトラス先端のの取り付け金具を受けるところは、直接ワッシャではなく、パイプ状の構造で円周で接触するようになっており、ネジを締めればしっかり固定されるようになっていました。軽量ではありますが、(以前もっていたMeade LightBridge 30 cmに比べると)よく考えられているな、と思いました。

_ SN01847/L106-41 ― 2010年03月21日 15時34分49秒

上層の気流ですが、冬場のジェット気流は仕方ないにしても、自分が住む土地の乱流層の高度を一度調べておくと役に立ちますよ。これは比較的簡便な方法でチェックできます。例えば、惑星や月面などに望遠鏡の焦点を合わせ、そこから僅かに焦点をずらす(焦点外方向)と気流の流れが見えてきます。その時のピントの位置のズレ量と、主鏡の焦点距離、対象の地平高度が分かれば、あとは三角法で乱流層の高度を算出できます。私の住む関東南部では1500m~3000m間に乱流層がありますから、700-850hPaのレイヤーにおける気流の状態を調べると、その日のおおよそのシーイングが分かります。もちろん上層のジェット気流がある程度弱くなっているのが良いシーイングの前提条件ですけどね。先のサイトの色でいえば、上層が30-50Knotの気流で、700-850hPaのレイヤーの気流が20Knot以下ぐらいですと、シーイングスケールで6~7のシーイングになることが多いです。
今日は....(ちょっとサイトを見てみましたが)....ジェット気流の強風軸(白い部分)が日本上空にありますから、全然だめそうですね。

Pickeringのシーイングスケールを読む時には、エアリー・ディスクの見え方と、ディフラクション・リングの「弧」の見え方をよくチェックすることが必要です。6ですとディフラクションリングの動きが比較的穏やかで短い弧が「常に」見えている、5は動きが大きくて弧が「しばしば」見える、4では弧が激しく動いていて「たまにしか見えない」、という感じです。冬場ですとスケール4/10以下のことが多いですね。13cmでこれですから、大口径ですとそこからスケール1~2を引いたぐらいです。

トラスポールを掴んで動かした時の感触、分かりました。その感触であれば、摺動部のμsとμdのバランスを取れば、良いフィールが得られるのではないでしょうか?

トラス取り付け部のBRKTの構造、そうですか、そういう感じなんですね。画像ではよく見えなかったのですが、BRKTが鋳造や鍛造のしっかりしたものであれば、BRKT自体の剛性の問題はなさそうですね。BRKTが取り付く部分の剛性は大丈夫そうですか?面内力で受けるような構造になっていれば充分剛性が高いといえますが、取り付け面がたわむような感じがあるのなら、その部分を補剛を施すと動きの感触が更に良くなると思います。

_ Morgenstern ― 2010年03月22日 20時49分39秒

SN01847/L106-41さん、詳しい説明、ありがとうございます。

「気流の流速が速いとシーイングが悪くなる」関係はわかるのですが、定量的な知識が全くないので、せっかくのチャートの見方がわかっていませんでした。どの位の高度の流速が問題で、どのくらいの流速以上になると影響してくるか、を具体的な数値で示していただき、とてもありがたいです。

焦点外像から乱れている気流の高度を推算するやり方ですが、今ひとつわからないです。まちがっているかもしれないですが、以下のように考えています。

・フォーカスを星(無限遠)に合焦させた状態からずらして、実際に気流が存在している高度に焦点を合わせると、像の乱れが大きく(より、はっきり)なって見える。

・無限遠と気流の存在する高度に合わせた時のフォーカサー位置の差から、望遠鏡の焦点距離などの定数を使って、気流の高度が計算できる(カメラレンズの距離表示のような感じでしょうか)。

ただ、2番目の項目については、かなり遠方の距離を見積もることになるので、フォーカサーの位置としては、かなり微小な差が問題になるような気がします。マイクロメータのような装置が付いていないと、意味がある数値を出すのは難しいように思います。

正確な高度の見積もりは私にはちょっと難しそうなので、近所からの観望には、SN01847/L106-41さんのやり方を、そのまま使えばよいかな、と考えています(私は茨城県南部在住です)。

トラス取り付け金具の取り付け部分の剛性についてです。側面は厚い鉄板を介してベアリングの合板に、中央はベアリングを連結する鉄の角パイプでできた部材に直接、取り付けられているので、しっかりしているようです。どちらかというと、この部分のゆがみより、トラスポール自体のタワミの方が大きそうです(でも、こちらも観望には影響はないくらいと考えています)。

今日は、ワックス(シュアラスターの一番安いものです)を高度ベアリングに塗ることと、カウンターウエイトの装着を行いました。これからは、出張が入ったり、天候の具合もあって、観望の機会はしばらくなさそうですが、次が楽しみです。

_ SN01847/L106-41 ― 2010年03月23日 01時30分13秒

Morgensternさん、こんばんは。

>・フォーカスを星(無限遠)に合焦させた状態からずらして、実際に気流が存在している高度に焦点を合わせると、像の乱れが大きく(より、はっきり)なって見える。
焦点外像方向へピントをずらすと、上空の気流の流れ(まさに川の急流の流れのようです)が見える箇所があります。それが上空の気流にピントが合った状態です。

>・無限遠と気流の存在する高度に合わせた時のフォーカサー位置の差から、望遠鏡の焦点距離などの定数を使って、気流の高度が計算できる(カメラレンズの距離表示のような感じでしょうか)。
そうです。カメラレンズの距離表示のような感じです。
主鏡の焦点距離 をf、無限遠と気流層のピント位置の差を ⊿fとし、上空の気流層までの直線距離 を a、天体の地平高度(仰角)をH、乱流層の高さを hとして....、レンズ設計の基本式と三角法を用いると、上空の気流層の高さを計算できます。
ピント位置の差は、マイクロメータを使って直に計ってもいいですが、フォーカサーのラックアンドピニオンやクレイフォードの諸元が分かっていればノブの回転角から逆算するほうが楽かもしれませんね。

Morgensternさんのお住まいが茨城県南部でしたら、私のところの上空気流層高さと大した差はないかもしれませんね。

ワックス、早速購入されたんですね。カルナバ・ワックスの固形タイプを、薄く(本当に薄く)均一に塗るのがコツです。くれぐれも塗りすぎにはご注意を。スルスルになりすぎてしまいますから。(^^;

明日から海外出張に出かけますので返信が遅くなるかもしれませんが、現地で時間が取れたらまたお返事しますね。調整頑張ってください。

_ SN01847/L106-41 ― 2010年03月23日 07時11分30秒

Morgensternさん、こんにちは。

昨夜のコメントに、気流層を求める式を書くのを忘れていました。加筆訂正です。

主鏡の焦点距離 をf、無限遠と気流層のピント位置の差を ⊿fとし、上空の気流層までの直線距離 を a、天体の地平高度(仰角)をH、乱流層の高さを hとして....、レンズ設計の基本式と三角法を用いると、上空の気流層の高さを計算できます。
 レンズの公式から、(1/a) + {1/(f+⊿f)}=1/f
 これからaを求めると、a=f(f+⊿f)/⊿f
 上空の気流層の高さは、h=a・sinH={(f・f/⊿f)+f}sinH
ピント位置の差は、マイクロメータを使って直に計ってもいいですが、フォーカサーのラックアンドピニオンやクレイフォードの諸元が分かっていればノブの回転角から逆算するほうが楽かもしれませんね。

それでは行ってきます。

_ Morgenstern ― 2010年03月23日 22時19分22秒

SN01847/L106-41さん お忙しいところを丁寧に教えていただきありがとうございます。

最初に三角法とあったので、レンズの式で計算するのではないのかな?と思っていたのですが、天頂を眺めているわけではないので、得られた距離を高度に直すのはsinになりますね。

また、確かに、微動付きのクレイフォードなら、マイクロメータと同じことになりますね。これで、悪いシーイングも楽しみになりました。

utoさんの掲示板で、メキシコ出張されるとのこと拝見しました。カリフォルニアよりも南で暖かそうですが、標高の高いところもありますね。気をつけていってらしてください。

_ kinkuro ― 2010年03月24日 11時04分35秒

初めて訪問しました。
興味深い記事大変参考になります。
私もUC22に興味を持ちながらも、その価格に尻込みしてました(ただ実際は他社に比べて高価ではないのですが)
今は自作に向け動いてますが、UCタイプにするかトラディショナルトラスタイプにするか迷ってます。
現在のディスカバリートラスドブが非常に重く(主鏡boxだけで40k)、軽量というメリットは最近何物にも換え難く感じてますが、重いドブならではのスムースな操作感に未練もあり方向性が定まりません。
両立できるものを目指せないか試行錯誤の日々です。
これからも応援しております。

_ Morgenstern ― 2010年03月24日 21時16分56秒

kinkuroさん こんばんは

ディスカバリーを使っておられるということ、こちらこそ、よろしくお願いします。

私の場合、「手持ちの車に収まり、一人で組み立てできる」ように、軽量・コンパクトを最優先としたので、UCにしました。UCはよく出来ていると思いますし、私自身、とても満足していますが、ごらんのとおり、ある程度、操作性や精度は犠牲になっています。いろいろな方にアドバイスをいただいたおかげで、精度の改善ができ、ちょっとした部分の構造にも重要な意味があることを痛感させられました。

User Groupやネットを検索してみましたが、「主鏡位置のずれ」についてはたくさんコメントがありましたが、UCのトップリングのゆがみを指摘しているのは、私が知っている範囲では、Cheyenneさんだけでした。おそらく、多くのUCのユーザーは、軽量化の結果として、精度の点は割りきって使ってらっしゃるのではないかと推察しています。

初心者なので、私からは役に立つアドバイスはできないと思いますが、(特に詳しい方からのコメントなど)参考にしていただければ、うれしいです。

_ uto ― 2010年03月25日 09時14分20秒

軽量、コンパクトを狙うと確かにUCのような構造になりますね。

垂直ベアリングに主鏡支持構造を直付けし、トップリングをシンプルな円盤にしたような、、。

私も自分のドブの設計時にUCのような形を考えましたが、組立が容易でかつガタが無く剛性を確保できるような金属Jointを考案できず、没になりました。
その点UC18は凄いと思います。あんなにコンパクトなのに組立も容易で剛性もそこそこある、、。きっと設計に多くの時間を費やすとともに試作も結構行ったと思います。
これにMorgensternさんによる改修を加えれば素晴らしいドブになりますよね。


kinkuroさん、はじめまして。
UC22に興味があるということはOver55cmでしょうか?
ドブの構造について議論できる場所はあまりありませんので、ここのブログをお借りしてお話できたらと思っています。
よろしくお願いします。

_ SN01847/L106-41 ― 2010年03月25日 14時19分03秒

メキシコからこんにちは。

昨日の日本の気温は3℃で雨が降っていたとか。家族からのメールで驚きましたが、まさに三寒四温、ぐっと春の気配が近づいているということでしょうか。
往路はロス経由だったのですが、こちらは標高が高い(約1800m)ので朝方は軽いジャケットが欲しいのですが、昼間の気温は25度。半そでが丁度良い気候です。今夜仕事の帰りに夜空を見上げてみると、カノープスが地平高度20度ぐらいで明るく輝いていました。こんな土地でドブで星空観察などしてみたいなぁと思ったしだいです。

Morgensternさん、こんにちは。
歓送のお言葉、ありがとうございます。
3ヶ月ぶりのメキシコですが、気候は温暖ですごしやすいです。ただ、調子に乗って辛いものを食べ過ぎるとお腹にくるので要注意です。(笑)
悪いシーイングも楽しみになりました....って何だか笑えました。
調整がうまくいくといいですね。

kinkuroさん、はじめまして。
55cmオーバーとはすごいですね。確かにUC使っている方の写真を見ると、これまでのClassicなドブに比べて機動性も高そうですね。
ドブの話題についてMorgensternさんのこちらのblogでいろいろお話できたらいいですね。

utoさん、こんばんは。
帰りはバンクーバー経由にはならず、シスコでトランジットでした。
この週末は標高の高いところでGOLFですので、飛距離が伸びるかどうか試してみるのが楽しみです。
しかし夜空が近く感じるのっていいですね~。こんな土地でドブで存分に星見をしてみたいものです。

_ kinkuro ― 2010年03月25日 20時56分49秒

管理人様、皆様、
なにぶん専門知識は無く
参考にさせていただくだけで役に立ちませんが、宜しくお願いいたします。

_ SN01847/L106-41 ― 2010年04月04日 11時06分34秒

Morgensternさん、こんにちは。

メキシコに7日、途中予定変更して米国に3日滞在して、一昨日帰国しました。何だか帰国したらこちらが一番ひんやりして肌寒い感じです。

今回は途中休みが1日取れたので、メキシコでは世界遺産のTeotihuacanへ寄ってきました。
 http://en.wikipedia.org/wiki/Teotihuacan

昨日はスポーツで汗を流してジェットラグを一日で取ったところです。
その後お元気でしょうか?

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